どうしても縁のないも物や場所があるものだ。著者にとって身延山久遠寺がそうである。何度行っても日没となり身延山の麓で諦めた経験が何度かある。それは身延山の予定の最後にしていたのが悪かった。今度身延山に行く機会があれば身延山を優先にしようと思っている。そう思っていたが日ごろの喧騒に紛れて身延山のことはスッカリ忘れていた。そんな日々の中、たまたま静岡県の富士宮に行く機会が訪れた。それなら身延山も近いのでついでに行ってみようと思いついた。当日は新東名の新富士インターで降りてまずは富士宮の仕事先に行った。要件はさほど時間がかからなく終わった。それなら富士山本宮浅間神社を参拝する気になった。富士山の噴火を鎮めるために祀られている富士山本宮浅間大社は、全国に数多くある浅間神社の総本宮とされ、大同元年(806年)に山宮浅間神社の地から現在地に移転された。浅間大社は富士山溶岩流の末端に位置し、境内には溶岩の間から湧出した地下水が池となった湧玉池(国特別天然記念物)も印象的。本音を云えば富士山本宮浅間神社は過去に何度か訪れていた、実は御朱印が目的だった。
やはり静岡の自然は雄大で爽やか感を与えてくれる
富士山本宮浅間神社を後にして、次に訪れたのは世界遺産の白糸の滝。この滝は、富士山の雪解け水が古富士火山層の境の絶壁から湧き出しており、高さ20m・幅150mの湾曲した絶壁から、大小数百の滝が流れ落ちている。その姿は白糸の名にふさわしく、幾筋もの絹糸をたらしているように見える。また曽我兄弟伝説でも知られている。ただ難を云えば、この滝を見るには坂道を降りていかなければならない。ということは帰りは登ってこなければならない。しかし白糸の滝は全国に十数箇所あるが、富士宮の白糸の滝が一番大きく優雅で見応えがある。その白糸の滝を後に、身延山に向かった。国道139号を走ると朝霧高原の長閑で牧歌的な雰囲気の牧場が見えてくる。この高原は朝に霧が発生するので、 朝霧高原と呼ばれるようになったらしい。今ではキャンプ場をはじめ遊園地・釣りなどができ自然を堪能できる。でもなんて云っても富士山。ドライブ中でも視界に広がる雄大な富士山。麓まで眺められる景色にはほとんどの人が感嘆する。
歴史のある身延山久遠寺は門前町の商店街も趣がある
いよいよ身延山に向かった。740年前の鎌倉時代に日蓮聖人によって開かれたお寺で、日蓮宗の総本山となっている。この身延山は日蓮聖人が9年間にも及び幽閉された所でもある。国道から外れて身延山久遠寺は門前町らしい商店が並ぶ。やはりこの商店街は門前町の雰囲気を漂わせており、名物の「ゆば」をはじめ「うなぎ」「みのぶまんじゅ」などを売っている店が直線に並んでいる。車ならアットいう間に通りすぎるので、機会があったらゆっくり歩いてみたいものだ。やがて総門が見えて来る。普通参拝客はここから歩いて身延山久遠寺まで行くのだが、何しろ車で来たので、それなら車で行ける所まで、行くつもりで車を進めた。何度もヘヤピンを曲りくねってから身延山久遠寺に着いた。やはり車で来られるのだ。久遠寺で参拝し、向かい山には日蓮聖人が幽閉されていた七面山が見える。日蓮聖人はこの七面山から生まれ故郷の阿波国に向かい母を偲んでいたらしい。久遠寺から奥之院にはロープウエイを使うが、今回は奥之院に寄らなかった。また奥之院まで行くほど信仰心も強くないし、いつか行く機会があるはずだ。
あまり派手さはないが、古い佇まいが歴史を物語っている
今日の泊まりは下部温泉。富士川の支流になる下部川に沿って広がる温泉で、信玄の隠し湯でも知られいる。歴史は古く承和3年(836年)に温泉が沸いたと熊野権現が記している。下部温泉駅から垂伸びる道が温泉街が始まり、その通りはすでに店を閉じた店や旅館が並び、どこが萎びた温泉を感じさせる。何となく群馬の四万温泉に似ている雰囲気もある。代わり映えしない道を進み、真ん中あたりまでくると小さな橋がかかっている。それを渡った所が本日の宿泊する宿だ。もちろん外の通りには華やか場所や店がある訳ではないので、宿を抜け出しての冒険はできない。仕方ないので食事は旅館で食べることにした。温泉はアルカリ性単純泉で、硬度が150度と国内でもかなり高い鉱泉。やはり温泉は種類は何の温泉でも気持ちがいい。また昔の名だたる武将が入った温泉だと思うとロマンを感じてくる。この日は宿泊客が少ないのか、浴室で出会った人は一人もいなかった。そして旅の楽し目の食事には想像通り「ほうとう」がでた。この「ほうとう」は美味しい「ほうとう」と不味い「ほうとう」があり極端だ。しかし今日の宿の「ほうとう」はまずまずだった。
サントリーの蒸留所とワイナリーはそれぞれ趣向があり楽しめる
気持ちのいい朝を迎えた。天気がいいと何となく、気分もよくなる。本日は甲府市内に泊まる予定だが、甲府に入る前にサントリーのを見て甲府に入る予定。この施設は以前にも訪れているのだが、両方とも素晴らしいので記憶に残っている。サントリーの白州蒸留所は約82万平方mに及ぶ広大な敷地を誇り、主に「白州」や「天然水」を作っている。入場料を払うとバスが待っている。工場内を走るバスで、このバスに乗ると一通り工場を見学できるので便利。工場を一通り回ると響や白州などサントリーの高級ウイスキーが試飲(有料)ができるコーナやレストランが待っている。蒸留所を充分堪能したので今度は甲斐市にあるサントリーワイナリーに向かった。ここは蒸留所より入っているところ。何しろ高台にあるので、バスは途中スイッチバックをしなければいけない。笑ったちゃうのは、バスの後についていた前の乗用車が、バスの通りスイッチバックをしている。これはバスは大きいので、スイッチバックしなければ曲がれないので止むなくスイッチバックしているので、乗用車は全く必要のないことなんだ。前の車がスイッチバックしている隙にカーブを普通に走り前にいた車より先に到着してしまった。この高台からの眺めはまた素晴らしい。読者には一度ご自分で確かめるのを推薦します。